このブログから30人を大学職員に内定させた、暇な大学職員(@univadm)です。
普段は、大学職員への転職系ネタを書くブログですが、今日は転職ではない話題を一つ。
池江璃花子選手が受験したスポーツ推薦入試って、日本のほとんど大学で合格率が90%を超えるかなり特殊な入試であるというトピックです。
競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)が、日大の入試を受ける手続きを行ったことが18日、分かった。東京・淑徳巣鴨高3年の池江は、日大進学の意向を持っていたが「願書提出」という形で、その意思を明確にした。これから入試を受けて、来月上旬にもその合否が決まる見通しだ。
なぜ、スポーツ推薦入試は最も合格率が高い入試の1つなのか。
現役の大学職員がその謎に迫ります。
あと、大学職員志望の人にも、面接のネタになる記事にしました。
スポーツ推薦・リメディアル・ピアラーニング
このあたり、大学職員の転職面接で必出のテーマです。
併せて読みたい
>>大学職員への内定報告を見る!32人公開中
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合格率90%以上の入試|スポーツ推薦入試の実態
有名大学であっても、出願すれば合格率90%以上の入試があります。
それが、スポーツ推薦入試。
- 青山学院大学
- 中央大学
- 関西大学
などの、名だたる名門大学においてスポーツ推薦だけが合格率90%以上なんです。
駒澤大学に至っては、スポーツ推薦の合格率は100%!
なお、本記事では、スポーツ推薦が簡単に合格するからズルいと言うつもりは全くありません。
スポーツ推薦で大学に入れる基準は、
名門大学ならば、
- インターハイや国体出場(名門かつ強豪大学なら全国ベスト8以上の成績が必要)
- その他全国クラスの実績が必要
- 県大会程度なら合格は不可能
という超厳しい基準です。
高校の時に競技をしていたら分かりますが、スポーツ推薦より一般入試のほうがどれだけ簡単か。
例えば、バドミントンの強豪県でインターハイに行くより、一般入試で青学に入るほうが簡単ということです。だから、スポーツ推薦のひとたちは普通に凄い。
ただ、大学職員になって思うのは、スポーツ推薦への教職員の風当たりの強さ。
スポーツ推薦は勉強できないから・・・みたいな論調で語られてしまうのです。
それって、なぜなのか。
大学職員の目線で実態を分析しながら、考えてみました。
関連記事>>>大学職員へ転職できるチャンスは年2回!毎年6月・12月は絶対に逃さないで。
スポーツ推薦入試は事前調整があるから、いきなり出願しても合格できない
大学職員に転職して初めて知ったのですが、スポーツ推薦って出願前から誰が出願するか分かってるんですね。
この辺、田舎の弱小高校で競技をしてた自分には分かりませんでした。
「入試」って付くので、スポーツ推薦でも全国の強豪が鎬を削って大学合格を目指すもんだと。
ただ、実態は全く違いました。
スポーツ推薦というのは、事前に所属予定の体育会(部活)内でオトナのリクルーターが高校生を調整し、誰を合格させたいか決めてから出願させるシステムなんです。
なので、ぽっと出で出願しても合格できないようになってます。
なんなら、もっと言うと、部活ごとに「枠」を持っているので、枠以上に高校生を取ることができません。
だから、大学の公式サイトでも、入試なのに事前に部活に連絡を取ることを推奨しているんです。
うーん、「入試」って名前が付くのに変わってる・・・。
公募制と言いつつも、連絡を取らせる矛盾。ちなみに、これは関西大学。
あ、あと、関西大学の職員は全国有数の年収です。
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競技でプロやるより、大学職員になった方が年収高いのかも。
スポーツ推薦の試験は「落とすため」の入試ではない
これは、中央大学のスポーツ推薦の結果です。名門の中央大学の合格率は88%。
っていうか、中央大学の法学部にはスポーツ推薦無いんですね。流石。
関西大学については、120人志願して117名合格(合格率97.5%!)
一応、二次試験もやってるみたいですが、もちろん全員合格で合格率100%です。
ご丁寧に、部活ごとの合格者数(=枠)まで書いているので、興味あるならWEBを見てみて下さい。
そう、結局、スポーツ推薦入試っていうのは、落とすための試験じゃないんです。
各部活が推薦してきた人をちゃんと合格させてあげることを求められる入試です。
もちろん、小論文試験や面接を入試なのでちゃんとやっています。
ただ、一般入試で受けると難関なのに、スポーツ推薦となると合格率が90%を超えるということは、まあそういうことです…
問題を漏洩しているようなことは絶対にありませんが、かなり激甘で採点してるってことなんですよね。
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スポーツ推薦入試で不合格となるのはどんな人?
部活から推薦されてきたスポーツ推薦の要員は、基本的に落ちません。
つまり、部活から「受けて下さい」と言われた人は、ほぼ絶対に大学に合格できるんです。
なぜなら、事前に部活ごとに受験者が調整されているから。
もしいきなり全国優勝しました!みたいな選手がぽっと出で受験してきたときは、余っている枠を使ってなんとか合格させようとしています。
つまり、部活に配慮して基本的に選手を不合格にしないような配慮がされています。
ただ、そんなスポーツ推薦でも極稀に落ちる人がいるのも事実です。
競技力も高く、部活から推薦されたにも関わらず、ポーツ推薦で不合格になる人は、日本語が不自由なレベルの選手。
たまに、JAPANクラスなのに、ほとんどテーマが毎年変わらない小論文でほぼ白紙だったり、ほとんどテーマが変わらない面接試験で一切話せなかったり、どうみても大学生活無理そうな選手がいたりするんです。そういう人は、さすがに不合格。
スポーツ推薦の担当をしていたりすると、たまに信じられないようなレベルの選手を見たりしますよ…
どうやって日常生活やってるんだとうと思うような。
競技は全国クラスですごいんですけどね。
【告発】スポーツ推薦を高校の顧問に無理矢理受験させられた生徒の事例
基本的には、受験すればほとんどが合格するスポーツ推薦ですが、不合格にな事例もお伝えしました。
たまに、JAPANクラスなのに、ほとんどテーマが毎年変わらない小論文でほぼ白紙だったり、ほとんどテーマが変わらない面接試験で一切話せなかったり、どうみても大学生活無理そうな選手がいたりするんです。そういう人は、さすがに不合格。
上記のような事例は完全に本人の責任なので救いようがないのですが、稀に所属部活動の調整ミスで不合格となってしまう方もいらっしゃいます。
ブログ拝見しました。
数年前、息子が●●●大学(本文では有名大学の校名)のスポーツ推薦を受験しました。
こちらから希望したのではなく、部活の顧問からの命令で受験させられました。
他大学の指定校推薦が決まっていたのに。
何度も断りをいれたのに、「●●●大学の監督が欲しがっている。話はついている。これで断ったら数十年続いたパイプが途切れてしまう。もし断るなら、OBとして一切の行事に参加させない」と、脅されました。
結局、指定校推薦を辞退させられ、●●●大学を受験しました。
結果は不合格。
一般の方には信じられないような話ですが、スポーツ推薦入試に深く関わったことがある人なら、一度は耳にしたことのある事例ではないでしょうか。
この場合の事例だと、
- ●●●大学のとある部活動の入学枠を差配している関係者より、部活動の監督に「おたくの●●選手が欲しい」と連絡がある。
- 監督は●●●大学が有名なので、自分の実績にもなるから受験してほしいと思い、強引に受験させる。
- ただ、不合格になったということは、①大学が要求する基準(最低でも全国大会出場)を満たしていないのに、大学部活動の関係者が受験させた、②この受験生をもともと合格させる予定だったが、同じポジションなどにもっと戦績上位の受験生が出願してきたというあたりが考えられます。
この生徒さんは、進学校で部活動をされていたようなので、筆記試験で落ちることが考えにくいとなると、人為的ミスなのかなと投書を頂いた最初に考えました。
入試の面接において面接官からこんなことを言われたそうです。
「うちの大学で君を取るのは現状では大変厳しい状況。
もしも合格したら頑張ってください」
他の受験生が15分ほど面接を行っていたのに対し、息子は5分で終ったとのこと。
当日は帰宅するなり部屋に閉じこもり、「あんな状況じゃ、100%受かるわけが無い。やっぱりうちの監督を信じるじゃなかった」
と泣きじゃくっていました。
また、高校の監督から受験しろと言われたのに、当日の面接官(大学の教員の可能性が高い=職員や部の関係者は面接官を努められないことが多い)にこのようなことを言われてしまっているとなると、①の大学が要求する基準を満たしていないのに、部の関係者や監督が無理矢理受験させたという可能性が濃厚です。
特に、ある程度の有名大学となると、全国大会出場が最低ラインとなり、身体能力が高いが県大会レベル、1人だけ異常にその競技が強いが県大会敗退レベルなどの個別要素は大学の判定会議では加味できない、もしくは、加味する術がないので、画一的に全国大会出場を内々の合格基準としている事が多い為、このような事態が発生してしまいます。
また、問題なのは、高校の監督の指導方法。
強豪校となると生徒の意思よりも、監督が進学大学を差配していることがまだまだ多い為、このような悲劇が生まれてしまうのです。
このあたりは、有名大学のスポーツ推薦が利権化していることによる問題です。
旧態依然の大学部活動の関係者(主にOB)と高校の監督との癒着とも言える関係は利権化してなかなか剥がすことができません。
有名大学ともなればスポーツを強くするメリットがそもそもないので、スポーツ推薦は廃止して本当に一般入試で入りたい受験生を合格させたら良いのにと思います。
【追記】某有名大学のスポーツ推薦を受験した親御様からのご連絡
また、保護者の方より、さらに追加でご情報を頂きました。
スポーツ推薦を受験する方の場合は、非常に参考になるお話です。
※一部、特定を防ぐために、変更しています。
おはようございます。
読ませていただきました。
●●●大学(本文中では実名)のスポーツ推薦では、枠を法学部から埋めていきます。
より欲しい選手に法学部を受験させます。
高校での学業成績とは無関係です。
高校ジャパンクラスはほぼ法学部ですね。
文武両道をアピールする為と、留年させない為の配慮があると思われます。(実は法学部は授業が最も楽なので)運動部の中では(アホー学部)と言わればかにされています。
一般受験で入学した生徒は、法学部は難しい学部ですから、内部での不満は爆発寸前ですよ。
(友人や身内に●●●●大学出身者が複数おりますので内情は詳しく聞いています)
●●●●大学●●●●部のメンバーでも法学部の生徒がいますよね。その選手は早くから推薦入学が決定していたということです。
●●●●大学としては第一希望の選手(相思相愛)を法学部、以下●●●学部→●●●学部→●●●学部の順で大学側の優先順位が分かります。
大学職員としてスポーツ推薦入試に関わって思うのは、スポーツ推薦が利権化している問題点です。
また、有名大学であっても、高校入試より簡単な入試でスポーツ推薦を獲得しているような大学もあります。
このあたり、スポーツ推薦が闇深い理由です。
大学職員から見た、スポーツ推薦の課題
大学職員をやってると、スポーツ推薦の学生と関わることも多いです。
そのほとんどが、礼儀正しく競技も頑張って、就職実績もいいので大学の評判を引き上げてくれるような人です。
ただ、一切の単位が取れず、試合も出れず(※一定数の単位をとっていないと試合に出られない)、結局退学する学生も見てきました。
スポーツ推薦の退学率は一般入試の学生の退学率と比較し、3〜4倍も高いです。
けど、それって高校生には罪は無いんですよね。
ずっとその競技をしてきて、大学に関する情報も無いなか、各部活のリクルーターに言われるがままに大学を受験する。
で、大学に入ってみたら高校みたいな雰囲気でもなく、教員もスポーツ推薦について甘い評価をすることもないので、レポートや授業で相当に苦労する。
多くのスポーツ推薦の学生が、そのギャップに苦しんでいます。
要は、リクルーターには入ってくれ入ってくれと言われ、大学に入ってみたら、教員はスポーツ推薦は勉強ができないからダメだと言われる。
相当なギャップだと思います。
なので、本当に教育すべきは、成績不振になる生徒を送ってくる部活OBのリクルーターなんです。
リクルーターというのは、一種の利権です。
自分が、有名大学の枠を持っているようなものなので。
なので、部活を強くしたいという一心で、英語ができないのにその部活には国際系学部の枠しかないから、スポーツ校の生徒を平気で送ってきたりするんです。
そうすると、苦労するのは右も左も分からないまま国際系学部に放り込まれた学生です。
大学職員に転職したいひとは、この現実も知った上で、面接に望んで下さい。
併せて読みたい
大学職員の面接対策記事
お読みいただき、ありがとうございました!